スーパーマーケットの精肉部門で売上がアップする売場を作る5つの考え方をご紹介しています。
主に食品スーパーの精肉部門の担当者の人に向けての記事となりますが、今回は売場の作り方ではなく、売場を作る考え方を書いています。売場の作り方を真似するだけでは本当の売上高アップには繋がりません。考え方を理解した上で各カテゴリーごとに適した売場を作ることで売上高が変わってきます。
食品スーパーという仕事は売上を上げるためにやることは一つしかありません。
売上が上がる売場を作ること。
これだけですがシンプルゆえに難しいです。
ただ他の職種や業種に比べたら売上を上げるためにやることは単純明快です。
お客様の需要に合わせた売場と作ること、お客様の需要を作り出す売場を作ること、この二つです。
お客様が食品スーパーに来店して考えることは今晩の夕食のメニューです。
何か安いもので美味しい料理はできないかを考えます。
何か美味しそうなもので美味しいメニューはできないかを考えます。
そこで夕食に使えそうなお肉が安く販売していたら、お客様の需要に合致した売場ということになり、迷わず買っていくでしょう。
安いお肉というのは広告品やインプロ商品などの集客アイテムなので売上や利益は期待できません。
集客アイテムでお客様に来店してもらい、お客様の需要を作り出す売場で商品を買って頂く戦略を構築する必要があります。
戦略と言うと難しく聞こえてしまいますが、担当者の売りたいという思いがこもった売場にすることが重要です。
そしてその売場は食品スーパーに行けば何処にでも見ることが出来ます。
学ぶは真似るからです。
よい売場があればどんどん真似して、良い部分を吸収していきましょう。
今回は売上がアップする考え方を中心にご紹介しています。
精肉で売上がアップする売場を作る5つの考え方
➊何を売りたいのかを決める
❷売場構成やカテゴリー配置を考える
➌売場のコンセプトを決める
❹売場の強みを設定する
➎お客様の意見を把握する
➊何を売りたいのか決める
売上が上がる精肉売場というのは、売場の前に立っただけで担当者の意思や売りたい商品が明確です。
売価が非常に安くて大量陳列をしている商品が売場にあると購買意欲がそそられます。
担当者の強い意志が感じられる売場はお客様にも伝わります。
食品スーパーは競合の売場を常に見ることができるので、良い売場があれば真似するべきです。
売価や陳列方法を見て真似するのも大事ですが、競合店の一品単価にも注目してください。
ユニット販売であれば何グラム入った商品を販売しているのかを確認します。
部門ごとの一品単価は地域性の強いものなので真似すると効果的なデータを得ることが出来ます。
もちろん地域によって特性があるので、同じ一品単価では売れないかもしれません。
しかし売価設定を色々と試すことにより、最大限売上を作ることが出来る最大単価を見つけることが出来ます。
例えば私の場合は、ある競合他社の店舗の牛肉売場の黒毛和牛の売価設定を真似しました。
黒毛和牛肩ローススライス150g/1280円@854円という商品を販売していた店舗があり、そのままの売価で真似して自店で販売をしたところあまり売れませんでした。
自店の平日の牛肉平均単価が1000円以下だったので1280円では売れない判断し、売価を1000円まで下げたところ人気商品となりました。
@667円なので利益もしっかりとキープできています。
❷売場構成やカテゴリー配置を考える
スーパーマーケットによって右回りと左周りがありますがほとんどは左回りです。
詳しい説明は割愛しますが、心臓が左寄りになるので左に向かって歩くと安心するとか、左に向かって歩くと右手で物を掴みやすいとかという理由が一般的です。
しかし中には右回りの店舗もあります。
お店に入ってすぐデリカ売場でお弁当や総菜が物凄くボリューム陳列されていてびっくりしたことが何回もあります。
慣れていないといきなりデリカ売場にびっくりすることがありますが、このような店舗はデリカが非常に充実していて活気があり楽しく買い物ができます。
これはオフィスが多い地域のスーパーに多い売場構成です。
デリカ売場の店舗全体の売上構成比が高い店舗は一番最初の売場とする傾向があるようです。
お弁当や総菜が売れる店舗は、生鮮部門の構成比が低いので売場も縮小傾向にあるようです。
このように地域特性や店舗の規模などにより、店舗の売場構成は大きく変えるべきです。
同じように精肉部門も売上に応じて変化させていくべきなのです。
精肉売場でのカテゴリー配置に注目してください。
牛肉売場から始まっている売場が多いと思いますが、今は豚肉から始まる精肉売場も多くなってきています。
牛肉売場から始まる売場の目的は、一番初めに綺麗な霜降り肉や鮮度の高い鮮やかな色をした牛肉を見てもらうことにより購買意欲を高める効果があります。
そして牛肉を買って欲しいというメッセージが込められています。
豚肉売場が一番初めにある売場構成だと、一番構成比の高い豚肉でしっかり売上を稼ぐ戦略です。
豚肉構成比がずば抜けて高い場合に有効です。
しかし牛肉が売れなくなるリスクもあるのでケースバイケースです。
大切なことは精肉部門において売りたいカテゴリーを決めて売れる売場構成にすることです。
尺数や平ケースの活用などで見せる商品を多くすればするほどそのカテゴリーの構成比は増えていきます。
➌売場のコンセプトを決める
売場を作るときにコンセプトは考えていますか?
コンセプトとは「概念」「発想」「構想」などの意味が一般的ですが、日本のビジネスで使われる時には、「ベースとなる考え方・構想」「統一性を持った考え方」です。
私が新しく店舗に異動した時には、まずこの地域に合ったコンセプトを考えて売場に反映するようにしています。
例えば午前中は主婦のお客様が多い店舗であれば、夕食で使いたくなる商品や企画をカテゴリーごとの統一した考え方として実行します。
この店舗での午前中の精肉売場のコンセプトは「夕食のメニュー提案」です。
また午後から夕方にかけては、若年層が多くなる店舗であれば、単価を大幅に安くした定価販売の大パックコーナーを作成します。
とにかく安く購入したい客層なので、単価を安くして一品単価を上げた商品を陳列するとよく売れます。
この店舗の午後からの精肉売場のコンセプトは「安さに挑戦」です。
❹売場の強みを設定する
起業や店舗によってアピールできる部分が異なります。
この独自の強みをアピールできるとお客様の心を掴みやすくなります。
私の店舗でのひとつめの強みは「商品化の綺麗さ」です。
切り落としから綺麗な商品化を心掛けています。
店舗によっては小間切れなどの商品化が汚い店舗も多く存在します。
また牛豚合挽ミンチなども商品化がよくない店舗もあります。
この商品化を徹底して自店の最大の強みとしています。
何を買っても綺麗、何を買っても美味しいがモットーです。
またもうひとつの強みは牛肉売場の種類の多さです。
今ではあまり牛肉が売れなくなっているので牛肉売場を縮小している店舗が多くあります。
ロス削減のために牛肉の商品を最小限にしている店舗がほとんどです。
しかし私の店舗では逆にものすごく商品の種類を増やしています。
牛肉ならなんでもあるというのがモットーです。
焼肉店でしかないような希少価値の高い部位や内臓系も取り揃えています。
お客様にこんな商品まで陳列してあると驚いてもらえることが幸せです。
そしてこれがリピーターに繋がるのです。
➎お客様の意見を把握する
良い売場を作ったらそれで満足してはいけません。
お客様が何を買っているのか、何か売場や商品に不満はないか徹底的に調べる必要があります。
一番良い方法は、私服で自分の売場をうろうろすることです。
そうするとお客様の会話が聞こえてくるはずです。
「このお肉高いね」「こんな量はいらないよ」「このお肉美味しそう」「この商品はどうやって使うのだろう」
こういった声に耳を傾けて改善してください。
お客様は制服を着た従業員の前では絶対に本音は言いません。
こういった小さな改善が大きな売上となって返ってくるのです。
まとめ
今回はスーパーマーケットの精肉部門で売上がアップする売場を作る5つの考え方をご紹介しました。
私たちの仕事の質や量は全て売場に出ます。
私たち食品スーパーの部門担当者は、売場でお客様から商品を購入して頂くという使命があります。
そのために月々の固定給をもらっています。
売場が全てなのです。
仕事で売上や利益を出す瞬間を毎日売場で見ることができる仕事はなかなかありません。
食品スーパーの仕事はそういった意味においても特殊です。
そして食品スーパーは何処にでもありますし、精肉売場もあります。
精肉担当者の仕事の過程である売場をいつでもどこでも見ることができ、真似することができます。
良い売場があれば真似をして、自分の店舗の特性などに合わせて改善していくだけで数値が変化していくはずです。
このような事ができるのも食品スーパーの醍醐味だと思います。
結果を出しやすい反面、努力をしないと全く結果が出ない職種でもあります。
どんどん良い売場は真似していきましょう。