スーパーマーケット精肉で売上がアップする売場の作り方をご紹介しています。
主に食品スーパーの精肉部門の担当者の人に向けての記事となりますが、精肉全体や各部門ごとの売れる売場の作り方を書いています。精肉部門はきつくて臭くて厳しい職場環境になりがちですが、それでもお客様から支持を得た売場を作れた時や、企画などが成功した時には達成感に浸りやりがいを大いに感じることができます。
目次
精肉で売上がアップする売場の作り方や考え方
この記事を書いた私は食品スーパー精肉部門で約20年以上勤務しています。
私は食品スーパー4社に転職経験があります。
主に新店やリニューアル店舗の精肉責任者や複数の店舗のマネージャーをしています。
様々な地域性が異なる店舗や客層が全く異なる店舗、競合店が強すぎる店舗などあらゆる店舗を経験しました。
様々なデータから最適な売場や商品構成、売場構成を考えて、最大限の売上高を作る為の売場作りに注力をしてきました。
もちろんたくさんの失敗や挫折もありましたが、売上が改善した売場作りの一握りの成功事例をご紹介していきます。
この記事を読んでもらうと、精肉部門4部門それぞれの売上がアップする売場の作り方や考え方を理解することができます。
➊売上がアップする売場を作る考え方
➊何を売りたいのかを決める
❷売場構成やカテゴリー配置を考える
➌売場のコンセプトを決める
❹この売場の強みを設定する
➎お客様の意見を把握する
今回は売場の作り方ではなく売場を作る考え方を書いています。
売場の作り方を真似するだけでは本当の売上高アップには繋がりません。
考え方を理解した上で各カテゴリーごとに適した売場を作ることで売上高が変わってきます。
関連レビュー:スーパーマーケット精肉で売上がアップする売場を作る5つの考え方
❷予算利益高を達成する考え方
①予算売上高を基準に予算仕入高を試算する
②原料ごとの予算売上高を設定する
➂週間単位で部門ごとに相乗積を活用する
④下段商品は安く販売し回転数を上げる
⑤端材で売上を取る
⑥上級部位や少量パック商品を定番化する
⑦値引きは通常売価に戻して値引きをする
私たち精肉部門責任者は必ず予算売上高と予算利益高を達成する義務があります。
企業によっては、予算売上高と予算利益率を重視しているところもありますが、基本的には利益高を稼がなくては意味がありません。
売上高を稼ぎ利益高を稼ぐことで私たちの給与の源泉が作られていきます。
関連レビュー:スーパーマーケット精肉で予算利益高を達成する7つの考え方
➌売上がアップする精肉売場の作り方
①平台ケースで毎日売場を変更する
②午前と午後で売場を変更する
➂グラム単価を極端に安くした定額販売を実施する
④週末は売上高重視の企画満載の売場を作る
⑤企画や用途別で統一感を出してコーナー化する
⑥値引商品は値引きコーナーを作ってまとめて陳列する
⑦少量パックを通常売価の定番商品として販売を継続する
精肉部門全体での売上がアップする売場作りの基本的な考え方や方法をお伝えしています。
大変だとは思いますがこれを毎日継続できたら必ず数字が変わってきます。
まずは競合店を徹底的に調べて相手の弱点や特徴を把握します。
競合店の弱点を突いた企画であったり、競合店の特徴を上乗せできるほどの自分の店舗の強みをアピールしていきます。
また客層を午前と午後別に把握します。
カテゴリーごとの平均単価を見極めて、最適な一品単価などの売価をコントロールする必要があります。
ただし間違っても点数を上げようとしてはいけません。
いくら安くしてもお客様は必要な量しか買っていきません。
夕食に必要な豚肉1パックと鶏肉1パックを買いに来ているお客様に対して、何パックも買わせようとしても無駄です。
関連レビュー:スーパーマーケット精肉で売上がアップする精肉売場を作る7つの方法
❹売上がアップする牛肉売場の作り方
①グラム単価を安くした破格の売価設定で下段展開をする
②少量の内容量で一品単価を低くくする
➂ステーキや焼肉でこだわりの売場を作る
④上級部位で高価値商品を作る
⑤切り落としこそ高価値な商品化で展開する
⑥週末は販売企画でアピールする
そもそも牛肉は売れないものと思い込んでいませんか?
牛肉は売れないからどんどん売場を縮小している店舗や企業が多いです。
だからこそそこにチャンスがあります。
一部の大手総合スーパーでは、平日の黒毛和牛の販売を大幅に縮小し、アメリカ産牛肉に特化した売場を展開しています。
そして週末だけ黒毛和牛コーナーを広げて曜日ごとに売場にメリハリをつける食品スーパーが多くなっています。
これは大手総合スーパーの牛肉売場の戦略の一つです。
平日はほとんど売れませんので、仕入ロスの低いアメリカ産牛で売場を作るという戦略です。
そして牛肉以外のカテゴリーで売上高を作っていき、牛肉売場の尺効率の悪さを改善するのです。
確かにこの戦略であれば牛肉の値引ロスや廃棄ロスが減り、売れない牛肉の商品を作るという費用対効果の低い作業を減らすことができます。
しかし売上的に牛肉の需要が低くなり、根本的な改善は見込めないので私はこの戦略には反対です。
牛肉はまだまだ伸びしろがある売れるカテゴリーです。
なぜなら、ほとんどの店舗や企業で牛肉は重要視されていないからです。
売れない部門、稼ぐことができない部門と位置付けられているからです。
外国産牛ばかりしか陳列されていないお店よりも、黒毛和牛がしっかりと陳列してあり、いろいろな上級部位や希少部位が陳列してあるお店の方が心が躍ります。
牛肉を選ぶ楽しさがあり霜降りの綺麗なお肉を見るだけでも買い物が楽しくなります。
関連レビュー:スーパーマーケット精肉で売上がアップする牛肉売場を作る6つの方法
➎売上がアップする豚肉売場の作り方
①平台ケースは毎日売場を変更する
②毎日必ず目玉商品をボリューム陳列する
➂新しい提案を意識しての商品群を企画する
④週末は企画満載の売場を作る
⑤少量パック商品を定番化する
食品スーパーで一番の売上高を稼ぐことができるのは豚肉です。
何もしなくても売上高を作れる部門でもあります。
しかし豚肉のカテゴリーでも、売り方や企画を変更すればもっと売上高を稼ぐことができます。
豚肉は鶏肉と同様にして需要が非常に高い商品群となります。
豚肉のカテゴリーでインパクトのある売場を作ることが出来たら、競合店よりも差別化をすることができてリピート率が向上します。
関連レビュー:スーパーマーケット精肉で売上がアップする豚肉売場を作る5つの方法
❻売上がアップする鶏肉売場の作り方
①インプロや販売企画を日替わりで継続する
②競合店がEDLP戦略なら鶏肉の売価を真似して集客を図る
➂鶏肉味付焼肉のコーナー化をする
④鶏肉だけのセット商品を陳列する
⑤グラム単価を大幅に安くした大パック商品を陳列する
豚肉と共に鶏肉も非常に良く売れます。
料理によく使いますし、レパートリーが豊富だからです。
そして値段が比較的安いからです。
ただし鶏肉売場というのは牛肉売場や豚肉売場とは異なり、地域性や企業の個性を出しにくいカテゴリーとなっています。
売価の安さだけで売れ行きが変わってしまうカテゴリーです。
EDLPを実施している企業では、特に鶏肉の売価を安くして集客をしているのが主流となっています。
鶏肉だけ売価を競合店より圧倒的に安くして、ついで買いでそのほかの商品も買ってもらう戦略です。
しかし鶏肉売場を競合店よりも魅力のある売場にすれば精肉全体の数値も変わってきます。
関連レビュー:スーパーマーケット精肉で売上がアップする鶏肉売場を作る5つの方法
❼売上がアップする加工品売場の作り方
①商品群別に品揃えを多くする
②インストア商品を出来るだけ多く拡販する
③調理品のカテゴリーで売場コーナーを作る
④目玉商品を大量陳列する
⑤他店が取り扱ってない商品を陳列する
精肉部門において牛肉と同じくらいに売上を作るのに苦労するのが加工品です。
売上高も利益も非常に取りずらい部門となっています。
要因としては間違いなくドラッグストアやコンビニエンスストアなどの加工品を陳列する競合店の台頭です。
加工品を陳列していないドラッグストアはありません。
ドラッグストアにとっての加工品というカテゴリーは、利益が少なくても売上高さえ稼げれば良いという部門です。
これは大手食品スーパーにも同じことが言えますが、加工品メーカーから大量仕入れを行い、仕入金額を抑えているので売価では全く太刀打ちできません。
関連レビュー:スーパーマーケット精肉で売上がアップする加工品売場を作る5つの方法
まとめ
私たち販売する側が売上高を上げる為の売場作りを一生懸命行っていると、お客様も私たちの熱意に気が付いてくれます。
売場の変化に反応してくれるようになり、企画や商品に興味を持ち、店員に話しかけてくるようになります。
そのような状況になると、私たちの仕事が楽しくて仕方がないものになります。
色々と考えるのが面白くなってきます。