『ウィッチャー3 ワイルドハント リマスター』のSwitch 2版を遊び始めたものの、「登場人物や国の名前が多くて、ストーリーを理解できるか不安」と感じていないでしょうか。

ウィッチャー3では、怪物退治、国家間の戦争、魔術師への迫害、異世界のエルフなど、さまざまな問題が同時に描かれます。過去作品や原作小説に触れていないと、序盤から知らない名前が次々に登場して戸惑うかもしれません。

ただし、物語の中心は意外とシンプルです。

ウィッチャー3の本編は、怪物狩りのゲラルトが、大切な養女シリを探して世界を旅する物語です。

政治情勢や過去作品の出来事をすべて覚えなくても、ゲラルト、シリ、イェネファーの家族に近い関係を意識すれば、本筋を理解しやすくなります。

私も初めて遊んだときは、ヴェレン、ノヴィグラド、ニルフガードといった地名や国名を覚えるだけで精いっぱいでした。それでも物語を進めるうちに、各地で起きる出来事が一本の線につながり、シリを巡る壮大な物語へ引き込まれていきました。

この記事では、ゲラルトがシリを捜し始めるところから、ワイルドハントとの決戦、3種類のエンディングまで時系列に沿って解説します。

リマスター版に収録される「無情なる心」と「血塗られた美酒」のストーリーも紹介するので、物語全体を整理したい人は参考にしてください。

※ここから先は、本編およびDLCの重大なネタバレを含みます。結末を自分の目で確かめたい人は、クリア後にお読みください。

ウィッチャー3のストーリーを理解するための基礎知識

ウィッチャー3のゲラルトとシリとイェネファーの関係を表す世界観

主人公ゲラルトは怪物退治を仕事にするウィッチャー

主人公のゲラルトは、怪物退治を専門とする「ウィッチャー」です。

ウィッチャーは幼い頃から過酷な訓練を受け、霊薬や突然変異によって人間を超える身体能力を獲得しています。普通の人には見えない痕跡を追跡し、怪物の習性や弱点を調べ、報酬と引き換えに討伐する専門家です。

ゲラルトは「白狼」とも呼ばれています。感情を表に出すことは少なく、怪物退治の依頼では冷静に振る舞いますが、本当に感情を失っているわけではありません。

むしろ、家族や友人が危険にさらされたときには、報酬や立場に関係なく行動します。

ウィッチャー3では、プレイヤーの選択によってゲラルトの印象も変化します。困っている人を積極的に助けることも、仕事として割り切って報酬を要求することも可能です。

一方で、どのような選択をしても変わらないのが、養女シリへの思いです。

世界中がシリを政治や力のために利用しようとするなか、ゲラルトはシリ本人を守るために旅を続けます。

シリはゲラルトの養女であり「古き血」を受け継ぐ少女

シリの本名は、シリラ・フィオナ・エレン・リアノンです。

滅亡したシントラ王国の王女であり、ニルフガード皇帝エムヒルの実の娘でもあります。

ゲラルトとシリに血のつながりはありません。しかし、ゲラルトは幼いシリをウィッチャーの本拠地であるケィア・モルヘンへ連れて行き、剣術や怪物に関する知識を教えました。

魔術師イェネファーもシリに魔法を教えており、ゲラルト、イェネファー、シリの3人は一般的な形とは異なるものの、家族に近い絆で結ばれています。

シリには「古き血」と呼ばれる特別な力があります。

時空を越えて別の場所や世界へ移動できるほど強力な能力であり、この力を利用しようとする者が後を絶ちません。

皇帝エムヒルは政治的な目的からシリを必要とし、ワイルドハントは異世界を移動するために彼女の力を求めています。

そのため、シリは王女でありながら、自分の居場所を求めて逃げ続けることになります。

ワイルドハントがシリを追っている理由

タイトルにもなっているワイルドハントは、幽霊の軍団のような姿で現れます。

しかし、その正体は単なる亡霊ではありません。異世界に住むアイン・エレと呼ばれるエルフの騎兵隊です。

ワイルドハントを率いる王エレディンは、世界と世界の間を自由に移動できるシリの能力を手に入れようとしています。

ワイルドハントは以前からシリを追っており、シリはさまざまな世界を転々としながら逃亡を続けてきました。

ゲラルトがシリを捜している間も、ワイルドハントは彼女のすぐ近くまで迫っています。

つまり、本編はゲラルトとワイルドハントによるシリの争奪戦です。

ただし、シリは誰かに救われるのを待っているだけの人物ではありません。自分で剣を取り、自分の運命を選ぼうとします。

この点が、ウィッチャー3のストーリーを面白くしている部分です。

北方諸国とニルフガード帝国は戦争中

ゲラルトが旅をする大陸では、ニルフガード帝国と北方諸国が戦争を続けています。

ニルフガードを支配しているのが、シリの実父である皇帝エムヒルです。

北方では、レダニア王ラドヴィッドがニルフガードへ抵抗しています。ラドヴィッドは優れた戦略家である一方、魔術師や非人間族を激しく迫害する危険な統治者でもあります。

さらに、国を失ったテメリアの兵士や、独自の目的で行動する諜報員など、さまざまな勢力が入り乱れています。

複雑に感じるかもしれませんが、最初からすべての国名と人物を覚える必要はありません。

「南からニルフガードが攻めてきている」「北方ではラドヴィッドが抵抗している」「シリは皇帝の実の娘」という3点を押さえておけば、本編の大まかな流れは理解できます。

ゲラルトがシリの行方を追うまでのストーリー

ゲラルトがヴェレンやノヴィグラドやスケリッジでシリを追う旅

ホワイト・オーチャードでイェネファーと再会する

物語は、ゲラルトがウィッチャーの師匠ヴェセミルと一緒に、行方不明だったイェネファーを捜す場面から始まります。

ゲラルトは夢の中で、ケィア・モルヘンにいた幼いシリの姿を見ます。

穏やかな夢に見えますが、やがてワイルドハントが現れ、シリが危険な状態にあることを暗示します。

ゲラルトとヴェセミルはイェネファーの痕跡を追い、ホワイト・オーチャードという村へ到着します。

村では、ニルフガード軍からグリフィンの討伐を依頼されます。ゲラルトは周辺を調査し、薬草や囮を用意してグリフィンを倒しました。

グリフィン討伐後、ゲラルトはようやくイェネファーと再会します。

イェネファーはニルフガード皇帝エムヒルのもとで働いており、ゲラルトを皇帝のいるヴィジマへ連れて行きます。

エムヒルは、シリがワイルドハントに追われていることを説明し、彼女を見つけ出すようゲラルトへ命じました。

ゲラルトは皇帝への忠誠心から依頼を受けたわけではありません。大切なシリを救うため、彼女が目撃されたヴェレン、ノヴィグラド、スケリッジを巡ることになります。

ヴェレンで血まみれ男爵と森の貴婦人に出会う

戦争で荒れ果てたヴェレンでは、フィリップ・ストレンジャーという男が地域を支配しています。

彼は「血まみれ男爵」と呼ばれていますが、単純な悪人ではありません。

男爵は一時期シリを保護しており、ゲラルトが求めている情報を持っていました。しかし、シリのことを話す代わりに、行方不明になった妻アンナと娘タマラを捜してほしいと依頼します。

調査を進めると、男爵が酒に酔って家族へ暴力を振るっていたことが判明します。妻のアンナにも秘密があり、家族の問題は簡単に加害者と被害者を分けられるものではありません。

アンナはクルックバック湿原に住む「森の貴婦人」に囚われていました。

美しい貴婦人として信仰されている彼女たちの正体は、ウィスプス、ブリュエス、ウィーヴィスという3人の妖婆です。

妖婆たちは村人の信仰を利用し、ときには子どもさえ犠牲にしています。

シリはヴェレンで妖婆たちと遭遇し、捕まりそうになりながらも能力を使って逃げました。その後、男爵のもとで傷を癒やしていたことが分かります。

男爵一家の物語は、プレイヤーの選択によって結末が変わります。

私がこのエピソードを印象深いと感じたのは、「怪物を倒せばすべて解決」という分かりやすい話ではないからです。

良かれと思って選んだ行動が別の悲劇を生むこともあり、ウィッチャー3の世界に完全な正解がないことを早い段階で教えてくれます。

ノヴィグラドでダンディリオンとトリスを捜す

ヴェレンでシリを見つけられなかったゲラルトは、自由都市ノヴィグラドへ向かいます。

シリは吟遊詩人ダンディリオンへ助けを求めていました。しかし、ダンディリオン本人も行方不明になっています。

ノヴィグラドでは「永遠の炎」という宗教勢力が力を持ち、魔術師や錬金術師、非人間族を迫害していました。

ゲラルトはかつての恋人である魔術師トリスと協力し、迫害されている魔術師たちを街から脱出させます。

シリはダンディリオンと共に行動し、犯罪組織のボスであるホアソン・ジュニアと対立していました。

ゲラルトは裏社会へ潜り込み、ホアソン・ジュニアやシギ・ルーヴェンと呼ばれる男たちから情報を集めます。

このシギ・ルーヴェンの正体は、過去作品にも登場したレダニアの諜報員シギスムンド・ディクストラです。

調査の末、ゲラルトは処刑されかけていたダンディリオンを救出します。

ダンディリオンの話から、シリはノヴィグラドを脱出し、スケリッジへ向かったことが判明しました。

ヴェレンとノヴィグラドで展開される物語は一見すると寄り道が多く感じられます。

しかし、どちらもシリが誰に助けを求め、何から逃げていたのかを知るための重要な物語です。

スケリッジでイェネファーとシリの痕跡を調べる

ゲラルトは海を渡り、島々からなるスケリッジへ向かいます。

スケリッジでは王の死によって後継者争いが起きており、次の統治者を決めようとしていました。

ゲラルトは先に到着していたイェネファーと合流し、魔法を使ってシリの足跡を追います。

シリはスケリッジへ転移したあと、スヒャールという心優しい青年に助けられていました。

しかし、ワイルドハントが村を襲撃したため、シリは再び逃げなければなりませんでした。

シリと行動していた謎のエルフは、彼女を守るために魔法を使います。その結果、シリは島から姿を消し、エルフも行方不明になります。

ゲラルトとイェネファーは死者の記憶まで利用し、シリが逃げる直前の出来事を突き止めました。

その手掛かりから、醜い小人のような姿をした謎の生物ウーマが、シリと行動していたエルフと関係していることが分かります。

ウーマは血まみれ男爵の館にいたため、ゲラルトはヴェレンへ戻り、彼を引き取ることになります。

ヴェレン、ノヴィグラド、スケリッジで集めた情報が、ここでようやく一つにつながります。

ウーマの正体とケィア・モルヘンの戦い

ウーマの呪いを解くゲラルトたちとケィア・モルヘン

ウーマの正体はエルフの賢者アヴァラックだった

ゲラルトはウーマを連れて、ウィッチャーの本拠地ケィア・モルヘンへ戻ります。

イェネファーは、ウーマが強力な呪いを受けていると見抜きました。

呪いを解くためには、ウィッチャーを作り出す際に使われていた「草の試練」に近い危険な処置が必要です。

ゲラルトたちはウーマの体へ薬を投与し、イェネファーが呪いを制御します。長い処置の末、ウーマは元の姿へ戻りました。

その正体は、アヴァラックというエルフの賢者です。

アヴァラックはシリの「古き血」を研究している一方、ワイルドハントから彼女を守っていました。

アヴァラックによると、シリはワイルドハントから逃れるため、霧の島と呼ばれる場所に隠れています。

ゲラルトはついに、シリがいる場所を突き止めました。

霧の島でゲラルトとシリが再会する

霧の島へ向かう前に、ゲラルトはワイルドハントとの戦いに備えて仲間を集めます。

これまでのクエストで助けた人物に協力を頼めるため、ゲラルトが築いてきた人間関係が決戦に反映されます。

準備を整えたゲラルトは霧の島へ渡り、小人たちが暮らす家でシリを発見しました。

ところが、シリはベッドの上で動かなくなっています。

ゲラルトが彼女を抱きしめる場面は、ウィッチャー3のなかでも特に胸を締め付けられる場面です。

長い時間をかけて手掛かりを追い、ようやく会えたシリが死んでいるように見えるからです。

やがてアヴァラックの魔法を宿した光がシリへ戻り、彼女は目を覚まします。

再会を喜ぶ時間は長くありません。シリが見つかったことをワイルドハントが察知し、霧の島へ迫ってきます。

ゲラルトとシリはケィア・モルヘンへ移動し、仲間たちと共に迎撃することになります。

ケィア・モルヘンでワイルドハントを迎え撃つ

ケィア・モルヘンには、イェネファー、トリス、ヴェセミル、ランバート、エスケルなどの仲間が集まります。

プレイヤーの行動によっては、キーラ・メッツ、ロッシュ、ゾルタン、ヤルマールといった人物も駆けつけます。

ゲラルトたちは要塞の設備を整え、限られた戦力でワイルドハントを迎え撃ちます。

作戦は順調に進んでいるように見えますが、ワイルドハント側にはエレディン、カランシール、イムレリスという強敵がいます。

シリはイムレリスに追い詰められ、ヴェセミルが彼女を守るために立ちはだかりました。

ヴェセミルはシリを逃がそうとしますが、イムレリスによって殺されてしまいます。

ヴェセミルの死を目の前で見たシリは、強い悲しみと怒りから「古き血」の力を暴走させました。

凄まじい力が周囲へ広がり、ワイルドハントは撤退します。

戦いには耐えたものの、ゲラルトたちは大切な家族を失いました。

ヴェセミルの死がシリとゲラルトを変える

ヴェセミルは、ゲラルトにとって師匠であり、父親のような存在です。

シリにとっても、剣術を教えてくれた祖父に近い人物でした。

それまでのシリは、ワイルドハントから逃げ続けていました。しかし、ヴェセミルの死をきっかけに、自分から戦う決意を固めます。

ゲラルトも、シリを危険から遠ざけるだけでは守れないことに気づきます。

シリはもう、言われたとおりに動く幼い少女ではありません。

危険な選択であっても、彼女自身の意思を尊重しなければならないのです。

ここから物語は、ゲラルトがシリを捜して救出する旅から、ゲラルトとシリが肩を並べてワイルドハントへ立ち向かう物語へ変化します。

ワイルドハントとの最終決戦と本編の結末

ゲラルトとシリがワイルドハントの王エレディンと対峙する最終決戦

シリはイムレリスへの復讐を決意する

ヴェセミルの葬儀を終えたあと、シリはイムレリスが禿山にいることをゲラルトへ伝えます。

二人は仲間に知らせず、イムレリスと妖婆たちを倒すために出発しました。

禿山では、シリがクルックバック湿原の妖婆たちと戦い、ゲラルトがイムレリスと対決します。

ゲラルトは激しい戦いの末、ヴェセミルを殺したイムレリスを倒しました。

シリも妖婆たちを追い詰めますが、一人だけ逃げ延びます。

この戦いによって、ゲラルトとシリは復讐を果たします。しかし、ワイルドハントの王エレディンが残っている以上、本当の戦いは終わっていません。

ゲラルトたちはエレディンを倒す作戦を立てる

正面からワイルドハントと戦うには、ゲラルトたちだけでは戦力が足りません。

そこでアヴァラックの知識を利用し、エレディンの軍勢をこちらの世界へ誘い出す作戦を立てます。

作戦には、魔術師たちの協力と「太陽の石」と呼ばれる道具が必要です。

さらに、アヴァラックはアイン・エレの有力者ゲールズへ接触します。

ゲールズは、かつての王オーベロンがエレディンに殺された事実を知り、エレディンへの協力を拒むことになりました。

こうしてワイルドハントは内部からも弱体化します。

女魔術師たちはそれぞれの事情や思惑を抱えていますが、シリと世界を守るため、一時的に力を合わせます。

政治、友情、過去の因縁が複雑に絡みながら、最後の戦いへ向けた準備が進んでいきます。

カランシールとエレディンを倒す

太陽の石によって、エレディンが率いる船ナグルファーが呼び出されます。

ワイルドハントとの最終決戦では、シリがカランシールと戦います。

カランシールは強力な魔法を使うため、シリも苦戦します。それでもシリは相手を追い詰め、ゲラルトが戦いを引き継ぎました。

カランシールを倒したゲラルトは、ナグルファーへ乗り込みます。

そして、ワイルドハントの王エレディンと一対一で対決しました。

長くシリを苦しめてきたエレディンをゲラルトが倒すと、彼は死の直前に意味深な言葉を残します。

「アヴァラックは我々の両方を騙した」

この言葉により、ゲラルトはアヴァラックがシリを連れて逃げようとしているのではないかと疑います。

ゲラルトは急いでエルフの塔へ向かいますが、そこで待っていたのは裏切りとは異なる真実でした。

シリが白き霜へ立ち向かう

アヴァラックがシリを塔へ連れてきたのは、自分のために彼女の力を奪うためではありません。

世界を滅ぼす災厄「白き霜」へシリを立ち向かわせるためでした。

白き霜は、一つの国や一つの世界だけの問題ではありません。いずれあらゆる世界を凍結させる破滅的な現象です。

「古き血」を受け継ぐシリだけが、白き霜を止められる可能性を持っていました。

ゲラルトはシリを止めようとします。

ここまで必死に捜し、ようやく再会できた娘が、再び命を懸けようとしているのです。止めたくなるのは当然でしょう。

しかし、シリは自分の意思で白き霜へ向かうことを決めています。

ゲラルトにできるのは、シリを支配することではありません。

彼女が自分で未来を選べると信じ、送り出すことだけです。

シリは吹雪の向こうへ進み、白き霜と対峙します。

ここでシリが帰還できるかどうかは、ゲラルトがこれまで彼女へどのように接してきたかによって決まります。

シリの運命が変わる3つのエンディング

ウィッチャーと皇帝と消息不明に分かれるシリの3つのエンディング

シリがウィッチャーになるエンディング

シリが白き霜から帰還し、皇帝の後継者にならなかった場合、彼女はウィッチャーとして生きる道を選びます。

ゲラルトはエムヒルに対し、シリが死亡したと伝えました。

その後、ゲラルトは職人に特別な銀の剣を作らせ、酒場で待っている女性のもとへ向かいます。

待っていたのは、生きて帰ってきたシリです。

ゲラルトは完成した銀の剣をシリへ渡し、二人はウィッチャーとして怪物退治の旅を始めます。

王女や皇帝の後継者としてではなく、自分の力で自由に生きていく結末です。

シリの自由を重視するプレイヤーからは、特に人気の高いエンディングです。

私も初めてこの結末を見たときは、派手な戴冠式より、ゲラルトから剣を受け取るシリの表情が強く印象に残りました。

二人が築いてきた親子関係にふさわしい、穏やかで希望のある終わり方です。

シリがニルフガード皇帝になるエンディング

シリを皇帝エムヒルへ会わせ、ニルフガードが戦争に勝利する条件を満たすと、シリが皇帝になる結末へ進みます。

白き霜から帰還したシリは、しばらくゲラルトと一緒に過ごします。

二人はいつものように怪物退治へ出かけますが、シリはどこか寂しそうです。

やがてニルフガードの一行が現れ、シリはゲラルトへ別れを告げます。

シリは一人のウィッチャーとして生きるのではなく、皇帝として多くの人々を導く道を選びました。

自由を失うようにも見えますが、大国の統治者になれば、シリは多くの人の生活を変えられます。

自分にしかできない役割を引き受けた、責任ある選択とも考えられるでしょう。

ゲラルトとの別れは寂しいものの、シリが自分で考えて選んだ未来です。

そのため、この結末も単純なバッドエンドではありません。

シリが帰ってこないエンディング

ゲラルトがシリの意思を何度も否定し、自信を失わせる選択を重ねると、シリは白き霜から帰ってきません。

シリを失ったゲラルトは、逃げ延びていた最後の妖婆ウィーヴィスを追います。

ウィーヴィスは、ヴェセミルがシリへ残した狼のメダルを持っていました。

ゲラルトは妖婆を倒し、メダルを取り戻します。

しかし、家の外には大量の怪物が集まっています。

ゲラルトはシリのメダルを握ったまま座り込み、その後どうなったのかは明確に描かれません。

怪物に殺されたとも、生き延びたとも解釈できます。

シリについても、本当に白き霜の中で死亡したのか、ゲラルトのもとへ戻らなかっただけなのかは断定されていません。

非常に重い結末ですが、単なるゲームオーバーではありません。

ゲラルトがシリを一人の人間として信頼できなかった結果だと考えると、この物語が親子関係を描いていたことがよく分かります。

エンディングを分ける重要な選択肢

シリが白き霜から帰還できるかどうかは、終盤に行う複数の選択で決まります。

重要なのは、シリの代わりに問題を解決するのではなく、彼女自身の力を信じることです。

シリが落ち込んでいるとき、一緒に酒を飲むより雪合戦へ誘うほうが前向きな結果につながります。

女魔術師会との話し合いでは、ゲラルトが付き添うより、シリ一人で行かせたほうが彼女の自信を尊重できます。

アヴァラックの研究室でシリが怒ったときは、感情を抑え込ませるのではなく、一緒に物を壊して発散させます。

スヒャールの墓参りを望んだ場合も、時間がないと拒否せず、彼女の気持ちに寄り添うことが重要です。

皇帝から報酬を受け取るかどうかも、シリとの関係に影響します。

これらの選択は、一見すると小さな会話にすぎません。

しかし、「失敗しないように守る」のか、「失敗しても立ち上がれると信じる」のかという違いが、シリの運命を変えます。

恋愛の結末もプレイヤーの選択によって変化します。

ゲラルトはイェネファーまたはトリスと結ばれる可能性がありますが、二人へ同時に愛を伝えると、最終的にはどちらとも結ばれません。

国家間の戦争も、ラドヴィッド、ディクストラ、エムヒルを巡るクエストによって結末が変わります。

すべての人を救える選択肢はなく、何かを選べば何かを失うのがウィッチャー3らしいところです。

DLC「無情なる心」「血塗られた美酒」のストーリー

無情なる心と血塗られた美酒の物語を象徴する鏡とトゥサン

無情なる心|オルギエルドと鏡の達人の契約

「無情なる心」は、本編とは独立性の高い物語です。

ゲラルトは怪物退治の依頼を受け、下水道に住み着いた巨大なカエルを倒します。

しかし、その怪物の正体は呪いを受けたオフィルの王子でした。

王子を殺したゲラルトはオフィル兵に捕らえられ、処刑されそうになります。

ゲラルトを救ったのが、鏡の達人を名乗るゴウンター・オーディムです。

オーディムはゲラルトを助ける代わりに、自分の仕事へ協力するよう求めます。

仕事の対象となるのが、カエル退治を依頼したオルギエルド・フォン・エヴェレックです。

オルギエルドはオーディムと契約し、不死身の体を手に入れていました。

その代償として、心が石のようになり、愛していた妻アイリスへの感情さえ失っていきます。

ゲラルトは契約を完了させるため、亡くなったオルギエルドの弟を一晩楽しませたり、ボルソディ家の財産を手に入れたり、アイリスが大切にしていた紫のバラを持ち帰ったりします。

願いをかなえるたびに、オルギエルドが失ったものと、アイリスが味わった孤独が明らかになります。

オーディムを倒すかオルギエルドを見捨てるか

オーディムは、願いをかなえてくれる親切な人物ではありません。

言葉の解釈を巧みに操り、人間の欲望につけ込んで魂を奪う超常的な存在です。

一方で、オルギエルドも完全な被害者ではありません。

自分の願いのために周囲の人々を傷つけ、結果として最愛の妻を追い詰めました。

最後にゲラルトは、オーディムへオルギエルドの魂を渡すか、契約へ介入して彼を救うか選びます。

オルギエルドを救う場合、ゲラルトはオーディムが用意した謎解きへ挑まなければなりません。

オーディムを退けると、オルギエルドは不死身の力を失い、人間らしい感情を取り戻します。

ここから先は、罪を背負った普通の人間として生きていくことになります。

「無情なる心」が描いているのは、願いをかなえることの恐ろしさです。

どれほど魅力的な条件であっても、失うものを理解せずに結んだ契約は、人生そのものを壊してしまいます。

怪物より人間の欲望のほうが恐ろしく見える、ウィッチャーらしい物語です。

血塗られた美酒|美しいトゥサンで起きる連続殺人

「血塗られた美酒」では、ゲラルトがワインと騎士道の国トゥサンへ招かれます。

明るく美しい土地ですが、そこでは高位の騎士たちが次々に殺されていました。

犯人は「ボークレールの野獣」と呼ばれ、ゲラルトは女公爵アンナ・ヘンリエッタから討伐を依頼されます。

調査の結果、野獣の正体はデトラフという上級吸血鬼だと分かります。

ただし、デトラフは理由もなく騎士を殺していたわけではありません。

恋人レナが誘拐されたと思い込み、彼女を救うために指定された人物を殺していました。

レナの正体は、アンナ・ヘンリエッタの姉シアンナです。

シアンナは「黒い太陽の呪い」を持つとされ、幼い頃に公爵家を追放されていました。

彼女は自分を傷つけた騎士たちへの復讐を果たすため、デトラフの感情を利用して連続殺人を起こさせます。

真実を知ったデトラフは激怒し、シアンナを引き渡さなければボークレールを滅ぼすと宣言しました。

ここでもゲラルトは、単純に怪物を倒せば終わる問題ではない状況へ巻き込まれます。

デトラフとシアンナの選択がDLCの結末を変える

「血塗られた美酒」の結末は、ゲラルトがシアンナやデトラフへどう対応したかによって変化します。

シアンナを救い、彼女の過去や本当の狙いを調べれば、アンナ・ヘンリエッタと和解させられる可能性があります。

その場合、ゲラルトはデトラフと戦うことになります。

デトラフを倒すには、彼と同じ上級吸血鬼であるレジスの力が必要です。

レジスはゲラルトの大切な友人であり、デトラフには命を救われた恩があります。

それでも最終的にレジスはデトラフへとどめを刺し、吸血鬼社会から裏切り者として追われる立場になります。

選択を誤れば、シアンナとアンナ・ヘンリエッタが共に死亡する悲劇も起こります。

デトラフを逃がし、シアンナを失う結末もあります。

誰を信じ、どこまで真相を調べるかによって、華やかなトゥサンの未来は大きく変わります。

すべての事件が終わると、ゲラルトは報酬として受け取ったブドウ園コルヴォ・ビアンコへ戻ります。

本編の状況によって、イェネファー、トリス、シリ、ダンディリオンのいずれかが訪れる可能性があります。

怪物を追って世界中を旅してきたゲラルトが、ようやく自分の家で穏やかな時間を過ごす場面です。

「血塗られた美酒」は壮大な冒険であると同時に、ゲラルトの長い旅を締めくくる物語としても強く印象に残ります。

ウィッチャー3 リマスター Switch 2版のストーリーまとめ

ゲラルトとシリが冒険の先に広がる大陸を見渡すストーリーまとめ

『ウィッチャー3 ワイルドハント』の本編は、養女シリを捜すゲラルトの旅から始まります。

シリは「古き血」の力を持っているため、ワイルドハントやニルフガード帝国など、多くの勢力から狙われています。

ゲラルトはヴェレン、ノヴィグラド、スケリッジを巡ってシリの足跡を追い、霧の島でようやく再会を果たしました。

しかし、ケィア・モルヘンの戦いでヴェセミルを失い、ゲラルトとシリはワイルドハントへ反撃することを決意します。

最終的にエレディンを倒しますが、シリには白き霜を止めるという役目が残されていました。

シリが白き霜から帰還できるかどうかは、ゲラルトが彼女をどれだけ信頼してきたかによって変わります。

本編の重要なポイントをまとめると、次のとおりです。

  • ゲラルトは養女シリを救うために大陸を旅する
  • シリは時空を越える「古き血」の力を持っている
  • ワイルドハントはシリの力を利用しようとしている
  • ヴェセミルの死によってシリは戦う決意を固める
  • ゲラルトとシリは協力してワイルドハントを倒す
  • シリの結末はウィッチャー、皇帝、消息不明の3種類
  • シリを支配せず、意思を尊重することが生存につながる
  • 「無情なる心」は契約と欲望の恐ろしさを描く
  • 「血塗られた美酒」は家族と復讐、ゲラルトの旅の終着点を描く

ウィッチャー3の物語には、絶対的な正義を持つ人物がほとんど登場しません。

人間にも怪物にも事情があり、正しいと思って選んだ行動が思わぬ悲劇を引き起こすことがあります。

だからこそ、選択肢を前に悩んだ時間まで自分だけの物語になります。

私が特に好きなのは、シリの運命を決めるのが強力な装備やボス戦の成績ではなく、何気ない会話の積み重ねであることです。

相手のために何でも決めてあげることが、必ずしも愛情とは限りません。失敗する可能性があっても、その人の力を信じて送り出すことが必要な場面もあります。

ゲラルトとシリの関係を軸に物語を見ると、複雑に感じられた人物や事件も理解しやすくなります。

Switch 2版リマスターから初めて大陸へ足を踏み入れる人も、ぜひ自分自身の選択でゲラルトとシリの物語を見届けてください。