ファイアーエムブレム聖戦の系譜|徹底解説||親と子が紡ぐ名作SRPG
ファイアーエムブレム聖戦の系譜を徹底解説しています。
1996年5月14日にスーパーファミコンで販売された、初めて遺伝システムが導入されて能力やスキルが親世代から子世代へと受け継がれる仕組みが生まれました。
ファイアーエムブレムエンゲージで、過去の主人公が紋章士として再登場したのをきっかけに、今までプレイしてきた過去作をもう一度振り返りたくなったので深掘りをしていきます。
「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」は、シリーズの中でも特に“物語の重厚さ”と“システムの革新性”が際立つ名作として語り継がれています。
親世代と子世代、二つの時代をまたいで物語が展開される壮大な構成は、当時のSRPGとしては異例のスケールで、ひとつの大陸の歴史そのものをプレイヤーが体験していくような没入感があります。主人公シグルドを中心とした親世代の悲劇、そしてその意志を継ぐ子世代セリスの大逆転劇が、血と因果でつながるドラマとして描かれ、「聖戦こそFEの最高傑作」と称される理由も納得の深さです。
さらに、シリーズ初の“遺伝システム”によって、親世代の能力やスキルを子供が受け継ぐ仕組みが誕生。誰と誰を結ばせるかで次世代が大きく変化し、プレイヤーごとに全く異なる部隊が生まれるという、自由度と戦略性の両立が実現しました。マップは広大で、国家間の戦争を丸ごと描くような壮大な戦場構成も本作ならでは。この記事では、その唯一無二の魅力を、ストーリー・キャラ・戦略性の観点から深掘りして紹介していきます。
目次
ファイアーエムブレム聖戦の系譜|徹底解説|概要と魅力
▶ファイアーエムブレム聖戦の系譜|概要

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ジャンル | シミュレーションRPG(タクティカルロールプレイングゲーム) |
| 開発元 | インテリジェントシステムズ |
| 販売元 | 任天堂 |
| 発売日 | 1996年5月14日(スーパーファミコン版/日本) |
| 希望小売価格 | スーパーファミコン版:7,500円(税別・当時のメーカー希望小売価格) |
| 対応機種 | スーパーファミコン(オリジナル)/Wii・Wii U・Newニンテンドー3DS(バーチャルコンソール)/Nintendo Switch(Nintendo Switch Online 加入特典) |
▶ファイアーエムブレム聖戦の系譜|あらすじ

物語の舞台は、大陸ユグドラル。かつて十二聖戦士と呼ばれる英雄たちが暗黒竜ロプトウスを打ち倒し、各地に国を築いた──という伝承が残る世界です。
時は流れ、平和は長く続かず、グランベル王国を中心に各国の思惑が絡み合う中で、不穏な火種が少しずつ燻り始めます。物語の前半・親世代でプレイヤーが操るのは、グランベルの地方国家・シアルフィの若き騎士シグルド。彼は隣国との小さな争いに巻き込まれる形で出陣しますが、それはやがて大陸全土を巻き込む大戦へと姿を変えていきます。
シグルドは、王女ディアドラとの出会い、戦場で出会う各地の騎士たちとの友情や対立を通じて、知らず知らずのうちに巨大な陰謀の渦に飲み込まれていきます。やがてグランベル王家の内乱、暗躍するロプト教団の存在、そして“聖戦士の血”を引く者たちに課せられた宿命が少しずつ姿を現し、物語は取り返しのつかない悲劇へと突き進んでいきます。
後半・子世代の主人公となるのは、シグルドの息子セリス。父の真実を知らないまま辺境で育った彼は、自らの出自とユグドラルの歪んだ現状を知り、仲間たちと共に立ち上がります。親世代の“結果”を受け継いだ子供たちは、それぞれの血統と過去を背負いながら、新たな聖戦へと身を投じていくことに──。親と子、二つの世代にまたがる物語が、大陸の歴史そのものとして描かれるのが『聖戦の系譜』の大きな特徴です。
▶ファイアーエムブレム聖戦の系譜|主要なキャラクター

➀シグルド
クラス
ロードナイト系の騎兵ユニット。剣と槍を扱い、移動力・攻撃力ともにトップクラスの“親世代主人公”。高い成長率と専用武器ティルフィングにより、単騎でも戦局をひっくり返せるほどのポテンシャルを持つ、まさに化け物級のエースです。
特徴
グランベル王国シアルフィ公爵家の嫡男で、真っ直ぐで正義感が強い青年騎士。困っている者を見捨てられない性格から、政治的思惑を超えて戦いに身を投じてしまい、結果として大陸規模の陰謀に巻き込まれていきます。恋人ディアドラとの出会いや、友であるエルトシャンとの関係など、英雄でありながら一人の人間としての弱さや迷いも描かれる、非常にドラマ性の高い主人公です。
役割
親世代の物語を牽引する中心人物であり、ゲーム的にも序盤から終盤まで軍の大黒柱となる存在です。彼の行動が多くの国や人物の運命を変え、その決断の積み重ねが子世代の世界へとつながっていきます。プレイヤーはシグルドを通して、「正義感だけでは救えない現実」と「それでも剣を取らざるをえない宿命」に向き合うことになり、物語の重さとテーマ性を強く実感させられます。
➁セリス
クラス
ロードナイト系 → 聖騎士。剣主体の騎兵ユニットで、父シグルドと同様に高い能力値と専用聖剣ティルフィングを扱うことができます。子世代の主人公として、攻守ともに突出した性能を持つ“第二の最強騎士”です。
特徴
シグルドとディアドラの息子として生まれながら、悲劇のあと辺境で密かに育てられた少年。温厚で思いやりがある一方、不正や虐げられた人々を見過ごせない気質を受け継いでおり、その理想主義が再び大きな歴史を動かしていきます。父の真実や自らの血筋を知る過程で苦悩しながらも、「過去を断ち切り、新しい時代を作る」決意へと変わっていく姿が印象的です。
役割
子世代の主人公として、親世代で積み上がった悲劇と歪んだ世界を正す“清算役”を担います。ゲーム上では軍の中心として前線で戦い続けると同時に、各国の王族や仲間をまとめあげるリーダーでもあり、プレイヤーの戦略と物語体験の両面を象徴するキャラです。シグルドの意思を継ぎながらも、単なるコピーではない新しい英雄像を提示する役割を持っています。
③ディアドラ
クラス
シャーマン系 → セイジに相当する魔導職。闇寄りの魔法と回復魔法を扱える純魔法ユニットで、魔力と魔防が高い一方、物理耐久は低め。戦闘力よりも“血筋と存在”が重要なキャラクターです。
特徴
森で暮らす記憶喪失の少女として登場しますが、その正体はロプトウスの血とナーガの血を併せ持つ、ユグドラルでも特別な存在。穏やかで控えめな性格ながら、心の芯は強く、シグルドと出会い恋に落ちることで運命が大きく動き始めます。彼女の血筋が物語全体の鍵となり、「愛」と「呪い」が同時に宿った存在として描かれます。
役割
シグルドの運命を決定づけるヒロインであり、親世代と子世代を血でつなぐ重要なピースです。ゲーム的には貴重な回復役・魔法アタッカーですが、それ以上に「ディアドラがどこへ行き、どうなってしまうのか」がプレイヤーの感情を揺さぶる大きな要素となります。彼女の選択と行く末が、ユリアやセリスの誕生、さらにはロプトの復活計画に直結するため、ストーリーの根幹に関わる役割を担っています。
④アイラ
クラス
ソードファイター → ソードマスター。高い技と速さを誇る剣士クラスで、流星剣スキルにより“多段ヒット”の爆発力を持ちます。守備や魔防は控えめですが、攻撃性能はシリーズ屈指のアタッカーです。
特徴
イザーク王国の王女でありながら、誇り高い剣士として最前線に立つ女性。プライドが高く無愛想に見えますが、実は情に厚く、特に甥レックスや双子の子どもたちへの愛情は深いものがあります。戦乱の中で国を失いながらも、民と家族を守るため剣を振るう姿は、ストイックなプロの戦士そのものです。
役割
親世代の物理エースとして、前線で敵をなぎ倒す火力役を担います。子世代では彼女の血と流星剣が遺伝することで、ラクチェやスカサハといった強力な二世剣士が誕生し、後半の戦力構成にも大きな影響を与えます。ゲーム的には「誰とくっつけるか」で二世の性能が激変する“遺伝システムの象徴”的なキャラであり、プレイヤーのカップリング計画の中核になります。
➄レヴィン
クラス
風の魔道士 → セイジ。風魔法を得意とする魔導ユニットで、専用武器フォルセティ装備時には回避・速さ・火力が突出し、“ゲームバランスを壊すレベルの最強魔道士”として有名です。
特徴
シレジア王国の王子でありながら、放浪の吟遊詩人として各地を旅している自由人。軽口や皮肉が多く、一見いい加減に見えますが、実は自国の問題や戦乱の行方を誰よりも冷静に見ています。物語が進むにつれ、自身の立場と責任に向き合っていく姿が描かれ、“逃げていた王子が覚悟を決める”成長譚としても魅力的です。
役割
親世代では、フォルセティ入手後の“切り札”として敵軍を一人で壊滅させるレベルの戦力となり、難所の突破に欠かせない存在です。また、カップリング次第でアーサーやセティといった強力な子世代魔道士を生み出すため、遺伝システムの観点でも超重要キャラです。ストーリー上も、後半で大陸の真実や神々の思惑を語る“語り部”ポジションとなり、物語の全体像をプレイヤーに示す役割を持ちます。
⑥キュアン
クラス
デュークナイト。槍特化の騎兵クラスで、高い攻撃力と耐久を兼ね備えた前衛ユニットです。専用の重要武器ゲイボルグを扱うことで、攻撃力・守備力ともに一気に跳ね上がります。
特徴
レンスター王国の王子で、シグルドの親友。真面目で責任感が強く、民を守るためなら危険な戦地にも迷わず赴く熱い性格です。ラケシスの兄としても知られ、妹や婚約者エスリン、そして故郷の未来を守るために戦場へ向かう姿が、後の悲劇をより深く印象づけることになります。
役割
親世代では、中盤の強力な助っ人騎兵としてシグルド軍に加わり、広いマップを駆け回る主力アタッカーとなります。その一方で、物語上はレンスター一派の運命を背負う存在であり、彼の行動がリーフやアルテナなど子世代の立場に直結します。聖戦全体を通じて“レンスターの悲劇”を象徴する人物として描かれ、ユグドラル大陸の歴史の苦味を体現する役割を持っています。
⑦エスリン
クラス
トルバドール → パラディン系。杖と剣を扱える騎馬ユニットで、回復と前衛の両方を担当できる貴重なサポート役です。移動力の高いヒーラーとして部隊の追撃や緊急回復に重宝します。
特徴
シグルドの妹で、キュアンの妻。明るく気丈な性格で、兄と夫の間を取り持ちながら軍の雰囲気を和らげる存在です。王族としての誇りを持ちつつも、どこか家庭的で温かい雰囲気をまとっており、戦乱の中に一抹の安らぎをもたらすキャラクターです。母としての一面も重要な意味を持ちます。
役割
親世代中盤で加入し、貴重な騎馬ヒーラーとして部隊の安定に大きく貢献します。回復だけでなく、レスキューなどの杖を使いこなせば、戦線の再編成や味方の救出にも役立ちます。ストーリー上では、レンスター勢の運命を形作る一人であり、彼女の決断と結末が、リーフやナンナなど子世代キャラのバックボーンとなっていきます。
⑧ラケシス
クラス
プリンセス → マスターナイト。初期は杖と剣を扱える支援寄りユニットですが、クラスチェンジ後はあらゆる武器・杖を使いこなす万能騎士となる、超ポテンシャル持ちのキャラクターです。
特徴
レンスター王国の王女でキュアンの妹。気位が高くわがままに見える一方、兄と民への想いは強く、戦乱の中で覚悟を決めて立ち上がる芯の強さも兼ね備えています。エルトシャンとの複雑な関係や、騎士たちとのやり取りなど、恋愛と家族の板挟みの中で揺れる姿が印象的です。
役割
ゲーム的には、育て切ることであらゆる局面に対応できる“万能エース”となり、攻守支援すべてをこなす主力となります。遺伝システム的には、子世代のナンナやデルムッドに優秀な血とスキルを渡す重要人物であり、“誰と組ませるか”で次世代騎士の性能が大きく変わります。物語上はレンスターとアグストリアの橋渡し役として機能し、複数の国のドラマをつなぐキーパーソンです。
⑨フィン
クラス
ランスナイト → デュークナイト。槍主体の騎兵ユニットで、成長次第では高い速さと守備を両立した堅実な万能騎士になります。聖戦だけでなく『トラキア776』にも登場する長寿キャラです。
特徴
レンスター王国の騎士で、キュアンに忠誠を誓う真面目で寡黙な青年。感情を表に出すことは少ないものの、国と主君、そして守るべき子どもたちへの想いは非常に深く、その一途さが多くのプレイヤーの心を掴みます。親世代・子世代・別作品を通して成長と変化が描かれる、シリーズ屈指の“生き残り組”です。
役割
親世代ではキュアンと共に前線を支える主力騎士として、子世代ではリーフの側近として再登場し、長い年月を通じて戦い続ける“継続戦力”となります。ゲーム的には、序盤から終盤まで頼りになる安定した戦士であり、装備や支援次第では準エース級の働きも可能です。物語的には、レンスターの悲劇と希望を体現し、世代を超えて“意志をつなぐ騎士”という役割を担っています。
⑩エルトシャン
クラス
パラディン → ドュッセル系の聖騎士。専用武器ミストルティンを扱うことで、高い攻撃力と耐久を兼ね備えた最上級クラスの騎士となります。敵として登場した際の強さはプレイヤーの記憶に強く残ります。
特徴
アグストリアの王弟で、シグルドの親友。高潔で誇り高く、騎士道を重んじる性格ですが、国と民を守ることと、友情や理想との間で深く葛藤する人物です。ラケシスの兄としても複雑な立場にあり、その選択と結末は“聖戦らしい苦いドラマ”の象徴として語られます。
役割
物語序盤~中盤において、シグルド軍に友として協力しつつ、やがて敵として立ちはだかる“悲劇のライバル”として機能します。プレイヤーは彼との戦いを通して、「正義と忠義が必ずしも同じ方向を向かない」現実を突きつけられ、作品全体のトーンを理解させられます。息子アレスが子世代で登場し、父の意志と名を継ぐことで、親子二代の物語が完結していきます。
⑪ティルテュ
クラス
サンダーメイジ。雷魔法を得意とする攻撃寄りの魔道士クラスで、高い魔力と個性あるスキル構成を持ちます。守備とHPは低く、扱いはやや上級者向けですが、育てれば高火力アタッカーになります。
特徴
フリージ公家の娘で、やや天然でドジっ子気質な少女。父や家の事情に翻弄されつつも、根は優しく、心のどこかで自由を求めています。レヴィンとの関わりや、子どもたち(オルエン系ではなくアーサー・ティニー)への想いなど、明るさの裏に重い運命を背負ったキャラとして描かれます。
役割
ゲーム的には、雷魔法とスキル“怒り”の組み合わせにより、HPが減ると一気に大ダメージを叩き出すロマン枠の魔道士です。遺伝システムの観点では、子世代のアーサーやティニーに魔道士としての素質を引き継がせる重要キャラで、父親候補との組み合わせによって“最強魔道二世”育成が狙えます。ストーリー上は、フリージ家とロプト教団の因縁を子世代へ持ち越す存在であり、悲喜こもごもの血脈ドラマの一端を担っています。
⑫オイフェ
クラス
ジュニアロード → パラディン系。子世代開始時点でセリス軍に同行している若き騎士で、成長率と初期値のバランスが良く、中盤以降も安定した戦力として活躍します。万能タイプの騎兵です。
特徴
シグルドの従者として親世代から登場し、子世代ではセリスの補佐役として成長した姿を見せる“連続登場キャラ”。真面目で責任感が強く、若くして参謀役を務めるほど頭脳明晰です。父世代の戦いを間近で見てきたからこそ、冷静さと慎重さを大切にする性格となっており、セリスを支える“二代目参謀”として信頼を集めます。
役割
ゲーム的には、子世代序盤で頼れる即戦力として、セリス軍の戦力不足を補う重要ユニットです。育て続ければ最後まで前線で戦える性能を持ちつつ、戦力が揃ってきた後半はサポート的に動く柔軟さもあります。物語的には、シグルドとセリス両方を知る“語り部”として、親子二世代をつなぐ役目を担い、プレイヤーに過去と現在の関係性を分かりやすく示してくれます。
⑬ジュリア
クラス
シャーマン → セイジ。光・闇・回復など多彩な魔法を扱える魔導ユニットで、終盤では聖書ナーガを装備することで、特定のラスボス級の相手に絶大な効果を発揮します。魔防も高く、対魔法戦に強いのが特徴です。
特徴
謎めいた少女としてセリスの前に現れますが、その正体はディアドラの娘であり、ロプトウスとナーガ両方の血を引く存在。内気で控えめな性格で、どこか影のある雰囲気を漂わせていますが、セリスや仲間たちとの交流を通じて、自分の役割と向き合っていきます。自らの出自を知ったうえで戦場に立つ姿は、作品のテーマである“血の宿命”を象徴しています。
役割
ストーリーの後半で、ロプトウスとの決着に不可欠なキーキャラクターとなり、彼女をどう守り、どう運用するかが終盤の戦略に直結します。ゲーム的には、ナーガ装備時の対ラスボス性能が突出しており、“このために存在するユニット”と言っても過言ではありません。同時に、セリスの異母妹として、物語に家族と血統の複雑さを加える存在でもあり、聖戦全体のテーマを回収する重要キャラです。
⑭アレス
クラス
フリーナイト → パラディン系。専用武器ミストルティンを受け継いだ騎兵ユニットで、高い攻撃力と耐久、そして“待ち伏せ”スキルにより、攻守一体のエースとして活躍します。父エルトシャンの正統な後継者的存在です。
特徴
エルトシャンの息子として登場し、父の死やアグストリアの現状に強い怒りと悲しみを抱えています。初登場時はセリスに敵意を向けるものの、真相を知ることで立場を変えていくという流れがあり、“憎しみから理解へ”という成長が描かれるキャラです。寡黙でぶっきらぼうですが、内面は熱く義理堅い騎士で、父の名誉を取り戻すために戦います。
役割
子世代における最強クラスの物理アタッカーの一人であり、前線で敵軍を切り裂く“突撃役”として頼りになります。ミストルティンの性能とスキル構成により、敵フェイズでの反撃殲滅が得意で、戦線維持のキーマンとなります。物語上は、父エルトシャンの物語を受け継ぎ、それを子世代の文脈で決着させる役割を持ち、親世代のドラマに区切りをつける存在です。
⑮アルテナ
クラス
ドラゴンナイト → ドラゴンマスター。飛竜に騎乗する飛行槍兵クラスで、高い移動力と攻撃力を備えた空中エースです。ゲイボルグを受け継ぐことで、攻守ともに驚異的な能力を発揮します。
特徴
キュアンとエスリンの娘でありながら、トラバントに育てられたレンスター養女という複雑な背景を持つ少女。自分を育ててくれた父としてのトラバントと、生物学上の親であるキュアンたちの真実との間で揺れ動きます。強く気高い性格で、愛情と正義の板挟みに苦しみながら、自らの進む道を選び取っていく姿が強く印象に残るキャラクターです。
役割
子世代終盤で加入する飛行エースとして、敵陣の奥深くを切り裂く“空からの一撃”を担います。ゲイボルグ装備時の火力と耐久はトップクラスで、レンスター勢の悲願を達成する象徴的な戦力です。物語的には、レンスターとトラキア、二つの国の対立に一つの答えを示す存在であり、フィンやリーフと共に“レンスターの物語”を完結させる役割を担っています。
▶ファイアーエムブレム聖戦の系譜|魅力

① 親世代と子世代、二つの時代を描く“大河ドラマ”構成
『聖戦の系譜』最大の魅力は、親世代と子世代という二つの時代を跨いで物語が展開する、大河ドラマのような構成です。前半ではシグルドたち親世代の戦いと決断が描かれ、その結果がそのまま“歴史”として後半の世界に刻まれます。プレイヤーは、かつて自分が操った親たちの選択が、子どもたちの立場や境遇、世界情勢にどう影響したのかを、後半パートで目の当たりにすることになります。「親世代での何気ない恋愛や友情が、子世代では重い宿命としてのしかかる」といった構図が非常に巧みで、ただの続き物ではない“世代を超えた物語体験”を味わえるのが特徴です。単発の物語では決して出せないスケール感と、親子二代にわたる因縁と救済が、一つの作品の中で完結している点が他作品にはない強みと言えます。
② カップリングと“遺伝システム”が生み出す唯一無二の育成体験
本作を語るうえで外せないのが、シリーズ初登場となる“遺伝システム”です。親世代で誰と誰を結ばせるかによって、子世代ユニットの成長率やスキル構成、得意武器が大きく変わります。同じキャラでも、父親が違うだけでまったく別物の性能になるため、「この子にはこの父親を」「この組み合わせなら最強の騎士が生まれる」といった、プレイヤーごとの“理想の血統設計”を考える楽しさがあります。しかも、それが単なる数値遊びに留まらず、「この二人は性格的にも相性が良さそう」「物語的にくっつけたい」といったストーリー面の想像も刺激してくれるのがポイント。攻略効率とキャラへの愛着のどちらを優先するかで悩む時間そのものが、本作ならではの贅沢な悩みになります。周回プレイのたびに違うカップリングを試したくなるリプレイ性の高さも、このシステムが支えています。
③ 国家単位の戦争を描く、広大マップと拠点制圧のスケール感
『聖戦の系譜』のマップはとにかく広大で、一章ごとに「一つの戦争」を描いていると言っても過言ではありません。プレイヤーは自軍の本拠地となる城から出撃し、次々と現れる敵城を制圧しながら、章全体を通して前線を押し上げていきます。途中で中立国が介入したり、援軍や奇襲が発生したりと、単なる“敵を全滅させるステージ”ではなく、戦況がダイナミックに変化する戦記ものらしい緊張感が味わえるのが魅力です。広いマップだからこそ、「どの部隊をどの方面に送るか」「騎兵で先行するか、歩兵を待つか」「村や民家を救う余裕があるか」といった、大局的な判断が求められます。シリーズの中でも、“国家レベルの戦争を指揮している感覚”が最も強く味わえる作品であり、じっくり腰を据えて一章ずつ戦い抜く達成感は他ではなかなか得られません。
④ 三すくみやスキルなど、後のシリーズに続くシステム面の革新
ゲームシステムの面でも、『聖戦の系譜』はシリーズの転換点となったタイトルです。剣・槍・斧の“武器三すくみ”が初めて本格導入され、どの武器種を主力にするか、相性をどう組み合わせるかといった戦略性が大きく向上しました。さらに、キャラごとに固有のスキルを持たせることで、「追撃」「待ち伏せ」「必殺」など、個性を活かした戦闘スタイルが生まれます。これに遺伝システムが組み合わさることで、「このスキルを子世代へ継承したい」という長期的な育成計画が自然と生まれ、戦略と育成が高い次元で結びつきます。また、拠点での武器修理や闘技場、資金を個人単位で管理するシステムなど、資源管理の面でも独特の味付けがされており、プレイヤーの判断一つひとつがプレイ感に大きく影響します。後のFEに受け継がれる要素が多数登場する、“システム面のターニングポイント”としての価値も非常に高い作品です。
⑤ 血統・宗教・国家を描く重厚でダークなストーリー
『聖戦の系譜』の物語は、従来の“王道ファンタジー”の枠を超えた、かなり重くシリアスなテーマに踏み込んでいます。聖戦士の血を引く者たちの血統主義、ロプト教団の暗躍、王家内での権力争い、政治結婚や裏切り、そして親世代に訪れる避けがたい悲劇……。一見すると分かりやすい善悪の構図に見えつつ、その裏には「正しいはずの理想が別の国にとっては脅威になる」「個人の想いが国家間の事情に押し潰される」といった、現実的で苦いドラマが描かれています。だからこそ、子世代パートでセリスたちが再び立ち上がるシーンには、単なる“英雄譚”以上の感情移入が生まれます。遊び終えたあとに、「あのキャラは本当はどうしたかったのか」「別の選択肢はなかったのか」と何度も振り返りたくなる余韻こそが、本作が今なお“シリーズ屈指の名作”として語られる大きな理由と言えるでしょう。
ファイアーエムブレム聖戦の系譜|徹底解説|まとめ

「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」は、遊び終えたあともずっと心に残り続ける、まさに“物語とシステムが噛み合った一本”です。親世代と子世代という二つの時間軸を通して、大陸ユグドラルの歴史そのものを体験させる構成は、ゲームという枠を越えて一本の大河ドラマを見ているかのような濃さがあります。シグルドたちが積み重ねた選択と悲劇、その果てに生まれた世界を、今度はセリスたち子世代がどう受け止め、どう変えていくのか──プレイヤーは、その“歴史のバトンリレー”の一部を自分の手で動かしている感覚を味わえるはずです。
そして、その重厚な物語を支えているのが、“遺伝システム”を中心とした唯一無二のゲームデザインです。誰と誰を結ばせるかで子供の能力やスキルが変わり、二周目以降は「今度はこの組み合わせで」「この子を最強にしてみよう」と、自然と新しい遊び方をしたくなる。広大なマップでの国家単位の戦争、武器三すくみやスキルによる駆け引き、個人資金や闘技場を使った育成計画など、一手一手の判断が確実に“自分だけの軍”を作り上げていく感覚は、他の作品ではなかなか味わえません。
確かに、マップの広さや難易度の高さ、システムのわかりづらさなど、いわゆる“今風ではない”部分も多いタイトルです。それでもなお、多くのプレイヤーが「聖戦こそFEの最高傑作」と語るのは、遊び終えたあとに残る感情の重さと満足感が桁違いだからでしょう。血統・宗教・国家・家族といったシビアなテーマに真正面から向き合いながら、それでも前を向いて生きようとするキャラクターたちの姿は、発売から年月が経った今でもまったく色褪せません。
もしあなたが「ストーリーも育成もどっちも本気で楽しみたい」「遊びごたえのあるSRPGをじっくりやり込みたい」と思っているなら、『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』は間違いなく刺さる一本です。この記事で少しでも興味を持ったなら、ぜひユグドラルの地に足を踏み入れ、あなた自身の手で“聖戦の物語”を完結させてみてください。



















