食品スーパー精肉部門担当者の人へ
「売上が上がる牛肉売場の作り方を知りたい」
「牛肉がまったく売れないのでどうすればよいのか分からない」
「牛肉を仕入れてもロスばかりで稼げない」
こんな風に思っていませんか?
このような疑問に出来る限りお答えします。
目次
【売上が上がる牛肉売場を作る6つ方法】
①グラム単価を安くした破格の売価設定で下段展開をする
②少量の内容量で一品単価を低くくする
➂ステーキや焼肉でこだわりの売場を作る。
④上級部位で高価値商品を作る
⑤切り落としこそ高価値な商品化で展開する
⑥週末は販売企画でアピールする
そもそも牛肉は売れないものと思い込んでいませんか?
牛肉は売れないからどんどん売場を縮小している店舗や企業が多いです。
だからこそそこにチャンスがあるのです。

① グラム単価を安くした破格の売価設定で下段展開をする

牛肉は毎日売れるものではありません。値段が高いうえに購入頻度も限られています。
私でも牛肉すき焼きをするのは年末だけであり、牛肉ステーキが夕食に並ぶ時は、家族のお祝い事の時だけです。
値段が高いのが原因ならば極端に牛肉の一品単価を低くしてみます。破格の売価設定にしてお客様が手に取ってもらえる商品を作ります。
牛肉売場の目玉商品として、グラム単価を通常価格よりも格段に安く設定した定額商品を販売しています。
例えば、自店では黒毛和牛肩ロース(ザブトン)ステーキや肩ロースすき焼き・しゃぶしゃぶを通常価格100g当たり1280円で販売をしています。
黒毛和種の肩ロースで100g1280円は他店と比較しても安めに設定をしていると思います。それでもお客様が平日に買うことができる金額ではありません。
この商品を平日の下段の目玉商品で、黒毛和牛肩ロースすき焼き150g/1000円@667円、もしくは200g/1280円@640円で販売をしています。
通常価格よりもほぼ半額となるので破格の売価設定です。和牛の肩ロースすき焼きやしゃぶしゃぶが1000円で食べることができるのなら手に取る機会が増えます。
この商品は平日に牛肉が全く売れなかった地域でもよく売れています。平均で10パックは売れます。これだけで10.000円の売上高です。
牛肉で利益を稼ぐには売上高が必要です。なので薄利多売でも良いので、とにかく商品回転率を上げる売場や商品を作成してみましょう。
このような商品企画や販売企画を毎日更新しながら、売場変更をして牛肉売場の活性化をしています。
景品表示法の通常価格の定義をしっかりと守りつつ、定番商品を毎日通常価格で販売することで、その部位の通常価格をお客様に認知してもらえます。
通常価格を認知してもらったら、グラム単価を安くした定額商品を販売すると、安さが際立つのでよく売れるようになります。
② 少量の内容量で一品単価を低くくする

牛肉の一品単価を豚肉の一品単価にまで落とすという手法です。
店舗や企業規模にもよりますが、豚肉の一品単価はおおよそ400円前後です。その豚肉と同じくらいの一品単価に落とした商品を作成します。
そうすることで、牛肉を購入するという選択肢が生まれます。もちろん牛肉は単価が高いので、商品の内容量を相当減らさなくてはなりません。
グラム単価が498円で売りたい牛肉がある場合、一品単価を498円とするには内容量を100gにする必要があります。
内容量が少なすぎると思われるかもしれませんが、平日に一品単価が1.500円以上する牛肉を購入するお客様はほとんどいません。一品単価が安い方が購買する選択肢に入ります。
買わない価格帯の商品を作って売れないと悩む前に、売れる価格帯まで試行錯誤して商品を企画する方が絶対に売上高に繋がります。
➂ステーキや焼肉でこだわりの魅せる売場を作る

牛肉売場のステーキや焼肉は平日には全く売れません。平日に牛肉ステーキや牛肉の焼肉はめったに晩御飯には並びません。
でもこれが1000円以下で買えたのならどうでしょう。
例えばお子様が何かで賞を取ったとか、旦那様が仕事で昇進したとか、何か大きな良い事があると、食事もランクアップする傾向にあります。
この時に牛肉売場に美味しそうな牛肉ステーキや焼肉が、意外と安く陳列していたらどうでしょうか。
そしてあまり見たことのない美味しそうな焼肉のたれやステーキソースが関連陳列していたらどうでしょうか。
必ず晩御飯の選択肢に入ると思います。このように牛肉が晩御飯の選択肢に入ることがまずは重要なのです。
「ん?これ美味しそう!」
「意外と安いかも!」
「でも今日は鶏肉にしよう」
このような声が売場から聞こえてくるような牛肉売場にするべきです。
残念ながら今回は鶏肉になってしまいましたが、一回選択肢に入ったことで、また次回選肢に入る可能性が大きくなりました。
牛肉売場で美味しそうなお肉があったことが記憶として頭に残ります。
次回何かのきっかけであの店舗には美味しそうな牛肉が陳列してあったと思い出すかもしれません。
④上級部位で高価値商品を作る

本来牛肉は嗜好品なので、お祝い事や良いお肉が食べたい時などに、食べたくなるような商品作りや売場作りを心掛けることが一番売上に繋がります。
焼肉店などで上級部位が有名となり、お客様のほとんどが名前を知っている部位というのは多くあります。
友三角や三角バラ、シャトーブリアン、ミスジ、そしてザブトン(クラシタ)などです。
こういった上級部位が牛肉売場に綺麗なトレーで魅せる商品展開をしていたら、知っている部位があるだけで感動すると思います。
もちろん売価も高いので購入することはないかもしれませんが、品揃えが豊富な店舗は、必ず「いいお肉が毎日売ってるお店」として認識されます。
そして何か家族のお祝い事があったり、日頃お世話になっている方にお肉を届けたいとなった時に、すぐに思い出してくれる可能性が高まります。
牛肉売場ではこのような状況を作り出すことができる売場を心掛けることが大切です。
また下段の定額販売の安さをアピールするには、毎日しっかりと通常売価の定番商品を陳列することが重要です。
そして同時に少ない内容量の小パックを品揃えすることで、様々な需要のお客様に対応することが出来ます。
通常売価で品揃えする商品は、上級部位や希少部位の商品が適しています。牛肉売場に魅せる商品が陳列してあると、牛肉売場の信頼度が向上します。
霜降りの美味しそうなお肉が、毎日綺麗に並べてあるという良いイメージを持たれやすくなります。
通常価格の上級部位や、小パックを品揃えをすることで、必ず長期的な視点では、牛肉の買上点数が上がってきます。
この牛肉売場の販売スタイルをしっかりと継続することが重要です。
⑤切り落としこそ高価値な商品化で展開する

原料の端材の処理が下手な担当者をよく見かけます。
この端材の使い方によって売上高や利益高を稼ぐことができる人との違いが生まれます。
全ての牛肉端材を小間切れとして売っている店舗もあるとは思いますが、非常にもったいないです。これでは利益額を稼ぐことはできません。
インストア販売の一番の強みであり、醍醐味は原料に価値を与えて商品化ができることです。
例えば肩ロースの原料ですき焼きやしゃぶしゃぶを商品化した場合どうしても端材は出ます。
この肩ロースの端材ですき焼きとしても使用できる原料を、切り落としとして綺麗な商品化を行い販売します。
また切り落とし焼肉として少し厚めに切った商品化で焼肉コーナーに陳列しても売れます
味付焼肉として、黒毛和牛のSKUとて品揃えをすれば、それだけで売上に繋がるはずです
正規のすき焼き用やしゃぶしゃぶ用よりも売価を安くして、買いやすい単価を設定することで、異なる客層にアピールすることができます。
⑥週末は販売企画でアピールする。

週末の牛肉売場はインパクトが非常に大事です。
良いお肉が安いと思わせる売場構成を考えたり、魅せる商品化を考えたりすることが、私たち精肉担当者の大切な仕事だと思っています。
牛肉ではあまり見かけませんが、自店ではよりどりセールをよく実行します。
この際、よりどりアイテムを10アイテム以上にしないと意味はありません。
よりどりセールを実施する時は、全ての用途別のSKUを揃えて、圧倒的なアイテム数を心掛けることが大切です。
よく実行するのは1パック980円、よりどり2パックで1580円です。焼肉やすき焼き、ステーキなどを組み合わせると安くなるという企画は週末には非常に有効となります。
また3割引セールや4割引セール、半額セールなども月に一度の頻度で行っています。これも通常価格の定義はしっかりと管理することが大切です。
牛肉は薄利多売でも良いので、販売点数を稼ぎ、売上高を作ることが先決です。しっかりと商品を回転させて、利益高を稼ぐことが重要です。

【まとめ】
食品スーパーの精肉部門で一番売上で苦労するのは牛肉です。自分に置き換えてみればよく分かるのですが、普段めったに牛肉は食べませんよね。
冬場であれば、牛肉すき焼きやしゃぶしゃぶを作る機会はあるとは思いますが、それでも年末年始に大勢で集まった時に限ると思います。私の記憶では、自宅で牛肉すき焼きを食べたのは年末くらいしか思いつきません。
特に牛肉のスライス系は普段あまり需要がありません。しかしながら毎日牛肉売場はしっかりと展開する必要があるので大変です。
一部の大手総合スーパーでは、黒毛和牛を止めて、アメリカ産牛肉に特化した売場を展開しています。そして週末だけ黒毛和牛コーナーを作り、メリハリをつけています。
これも牛肉売場の戦略の一つですね。平日はほとんど売れませんので、仕入ロスの低いアメリカ産牛で売場を作るという戦略です。そしてほかのカテゴリーで売上を作っていき、牛肉売場の尺効率の悪さを補完するのです。
確かにこの戦略ですと、牛肉の値引ロスや廃棄ロスが減り、売れない牛肉の商品を作るという費用対効果の低い作業を減らすことができます。
利益率だけの数値で見れば改善していると考えられます。しかし売上高が落ちれば、利益高を稼ぐことができません。
私はこの戦略には反対です。何故なら、根本的に何も問題解決になってはいないからです。これではどんどんお客様の牛肉離れが加速してしまいます。
ではどうしたらいいのでしょうか?
答えは簡単です。売れる牛肉売場を作れば良いのです。
主婦の方々は一日の夕飯に使えるお金が決まっています。牛肉を買ってしまっては、そのほかの商品が何も買えなくなってしまいます。なら買えるくらいに安くすればいいのです。
牛肉はまだまだ売れるカテゴリーです。
なぜなら、ほとんどの店舗や企業で牛肉は重要視されていないからです。売れない部門、稼ぐことができない部門と位置付けられているからです。
外国産牛ばかりのお店よりも、黒毛和牛がしっかりと陳列してあり、いろいろな上級部位や希少部位が陳列してあるお店の方が選ぶ楽しさがあり、お肉を見るだけでも面白いと感じるかと思います。
そして牛肉の信頼度も高くなります。まだ伸びしろが大いにある面白いカテゴリーだと思っています。
ご参考になれば幸いです。